ゲリラ豪雨の中で

ゲリラ豪雨の中で


Posted on 24th 7月, by 中川奈々子 in 育児・子育て. No Comments

ゲリラ豪雨の中で

もう5年ほど前になりますが、
我が家の裏の川が氾濫して、
床上浸水したことがあります。

そのちょっと前から、
「ゲリラ豪雨」という言葉が出てきていて、
うちも怖いねー、なんていう話は出てきていたのですが。

朝、4時半ころだったでしょうか、
一晩中降っていた雨が、全然やむ気配がない。
まだ結構な雨音。

だいぶ裏の川の水流が増えてきたね、
みたいな話をして、主人は出勤。

6時半すぎ、増水してきた川があふれてきた。
足首くらいの水が、ひたひたと庭へあふれてきていました。

私は、出産して一か月が過ぎた頃でした。
赤ん坊をベビーベッドに寝かせて、
上の子供たちのため朝ごはんを作っていました。

すぐ上の、3歳の子が手足口病にかかってしまい、
口中、口内炎だらけになってて、
もう2日間もほとんど何も食べてくれていませんでした。
蒸し暑い日でした。

砂糖を入れた牛乳だけは飲むので、それを飲ませていたら、
七時過ぎ、おじいちゃんおばあちゃんが
「避難しよう」と言い出しました。

二階から見た庭は、
どうどうと水があふれ、テレビで見たガンジス川みたいです。
ついさっきまで、足首くらいだったのに…。
自転車ももうありませんでした。

このどしゃぶりの大雨の中、泥水の中、
生まれたばかりの赤ん坊と、
3人の子を連れて非難するのか。

しかも、家にはおなかに赤ちゃんのいる義妹も身を寄せていました。

私は紙おむつと牛乳、バスタオルをつかみ、
昨日、たまたま頂いた草餅をまるごとリュックに詰め込んで
子供たちと大型トラック(自宅は自動車工場だったので、そんな車があったのです)
の荷台に乗りました。

「犬は? 若丸は?」
の子供の声に、外にいた雑種を思い出し、
あわてて犬小屋から引っ張り出しましたが、
おびえてなかなか動きません。

無理矢理、荷台に押し上げて、
妊婦と赤ん坊と子供三人と犬は、
ビニールシートをかぶって、
近所の丘の上へ避難したのです。
もう、轟々と濁流が家の中へ流れ込んできていました。

水は2時間ほどでひきました。
たった二時間です。

でも、私たちには長い長い時間でした。
子供たちに
持ってきた牛乳を飲ませ、
草もちを食べさせながら、
茶色いものすごい水流を見ていました。

主人は道路が寸断されたため、
勤め先から帰ってくるのに何時間もかかりました。

復旧にも時間がかかりました。
まったく元の通りになるのには、
一年以上かかったのです。

手足口病で、一週間も口もきけないでいた息子は、
その豪雨のあとから、必ず自分の靴は
すべて車の中へ持ち込むようになりました。
あるだけすべての靴をです。

なぜかはよくわかりませんでしたが、
私も赤ん坊の世話や復旧のことや、
ボランティアに来てくれている人たちのことなどで
頭が回りませんでした。

しばらくたってから、
ふと気になって、
「どうして靴を全部車に入れるの?」と聞いてみました。

三歳の子は、
「チョコレート川がもってっちゃうから」
と答えました。

そうなのです、彼のお気に入りの
レンジャー戦隊の靴はすべて流されてしまっていたのです。
新しい靴を買いましたが、
彼はそれをも流されてしまうのではないかと、
ずっと心配していたのでした。

彼は、彼なりに怖い思いをして、
小さい心を痛めていたのです。

同じ日によその地域では、
鉄砲水がでて5人の子供が流されて亡くなっています。

テレビの天気予報で、
全国あちこちで大雨被害が出ていると、
心が痛みます。

どうか皆さんがご無事で、と祈らずにはいられません。



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投稿者:中川奈々子 プロフィール:多摩美術大学卒。ガラス作家・銅版画家・イラストレーター。 現在4人の男の子の子育て中です。 古都金沢でガラス工房を営みながら、日々の古都暮らしや子育てについてあれこれ綴っていきたいと思います。 http://shellstudio.web.fc2.com/index.html http://ameblo.jp/shellstudio/ 遊びに来てね!! HP:shellstudio ブログ:金沢古都暮らし



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