子供のけが

子供のけが


Posted on 24th 7月, by 中川奈々子 in 育児・子育て. No Comments

子供のけが

ベビーカーを押して散歩中、
新しいパン屋さんを見つけました。
こじゃれていて、いい匂いがして…。
赤ん坊が生まれてから、外出がめっきり減った
私にとっては、まるで別世界への扉のように思えたものです。

小さな白いガラスのドアは、少し傾斜がついたエントランスの
向こう側。小さな階段もついていて、
とてもベビーカーは入れなさそうです。

生後4か月のわが子はうとうと。
これを抱き上げて、片手でトレイとトングを持って
パンを選ぶことは難しいそう。

そこで、私はその傾斜のついたエントランスの坂道の端っこへ
ベビーカーを押して寄せ、ストッパーをかけて、
「5分くらいなら待てるよね」と
その手を放して、
自分だけ、うきうきとパン屋さんのドアを開けたのです。

ドアを開けたか開けないかといった瞬間、
がしゃーんという音と、わが子の叫び声。

驚いて後ろを振り返ると、
ベビーカーは真横倒しになっていたのです。

ベビーカーの手すりが地面について
衝撃を和らげてくれたのか、
大けがにはなりませんでしたが、
擦りむいたほっぺから血が出てしまいました。
あわてて抱き上げ、泣きそうになりながら
赤ん坊の全身をチェックしました。
「大丈夫ですか?」と声をかけてくれた人も
いたように思います。

ですが、私は涙をぽろぽろこぼしながら、
泣いてるわが子と走って家へ帰ったのです。

あの時ほど胸が締め付けられたことはありません。

うっかりと手を放すから。
他に気をとられるから。
赤ん坊に何かあったらどうする。

本当につらかった思い出。

ですが、あの時、私はあのパン屋さんに入りたかったのです。
あの、何気ない日常に戻りたかったのです。

初めての赤ちゃん、どうしていいかわからないままに
睡眠不足が続いて、買い物にも行けず、
美容院にも行けず、出産と同時に始まった慣れない同居にも、
心は疲れ切っていました。

ほんの数か月前みたいに、
気楽にパンを選んでみたかった。

それだけなのですが、
なんだか赤ん坊から心と目を離した罰を受けたような気がして、
ものすごく打ちのめされました。

まあ、今考えれば、傾斜のところにベビーカーを置くから
悪いんだという、物理的な問題なのですがね。

子供のけがは、
思った以上に親にダメージを与えるものなのですね。

高校生になった本人は覚えているわけもない、
ほろ苦い思い出です。



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投稿者:中川奈々子 プロフィール:多摩美術大学卒。ガラス作家・銅版画家・イラストレーター。 現在4人の男の子の子育て中です。 古都金沢でガラス工房を営みながら、日々の古都暮らしや子育てについてあれこれ綴っていきたいと思います。 http://shellstudio.web.fc2.com/index.html http://ameblo.jp/shellstudio/ 遊びに来てね!! HP:shellstudio ブログ:金沢古都暮らし



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